
この記事では、『スピノザの名言』を厳選して紹介しています。
スピノザの名言には「感情に支配されている人は、自分自身の主人ではない。」や「誇りとは、自分を過大に評価することから生じる快楽である。」など、心に響く名言が多数あります。
オランダの哲学者で、大陸合理論を代表するひとりであり、汎神論的一元論を樹立した、スピノザの名言をご堪能ください。
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目次
スピノザはどんな人物?
名前:スピノザ(Baruch de Spinoza)
誕生:1633年
没年:1677年
国籍:オランダ
職業:哲学者
名言:「感情に支配されている人は、自分自身の主人ではない。」「誇りとは、自分を過大に評価することから生じる快楽である。」など
スピノザはオランダのユダヤ系哲学者で、デカルト・ライプニッツとともに大陸合理論の代表者です。
1656年に無神論的な傾向と見なされ、ユダヤ教団を破門となりました。
デカルト的ニ元論に対して、思惟(精神)と延長(物体)は唯一の実態である神の属性であり、自然界の万物は神の属性の諸様態であるとする汎神論的一元論を樹立しました。
スピノザの著作には、「エチカ」「知性改善論」「神学政治論」などがあります。
スピノザの名言19選【心に響く名言|原文・汎神論・エチカ】
ここからは、スピノザの名言を厳選して紹介していきます。
感情に支配されている人は、自分自身の主人ではない。
スピノザの名言
ーWhen a man is prey to his emotions, he is not his own master.
感情という苦しみは、それを明確かつ正確に理解した瞬間に、苦しみではなくなる。
スピノザの名言
ーEmotion, which is suffering, ceases to be suffering as soon as we form a clear and precise picture of it.
理性の完全な導きのもとに、自らの自由な同意によって生きる者だけが、真に自由である。
スピノザの名言
ーHe alone is free who lives with free consent under the entire guidance of reason.
意志と知性は、本質的に同じものである。
スピノザの名言
ーWill and intellect are one and the same thing.
心は武力ではなく、愛と高潔さによって征服される。
スピノザの名言
ーMinds are conquered not by arms, but by love and nobility.
誇りとは、自分を過大に評価することから生じる快楽である。
スピノザの名言
ーPride is pleasure arising from a man’s thinking too highly of himself.
過度の誇りや極端な落胆は、自己に対する深い無知を示している。
スピノザの名言
ーExtreme pride or dejection indicates extreme ignorance of self.
おだてに最も騙されやすいのは、第一でありたいと望みながらそうでない、誇り高き者たちである。
スピノザの名言
ーNone are more taken in by flattery than the proud, who wish to be the first and are not.
平和とは戦争の不在ではない。それは徳であり、心の状態であり、善意・信頼・正義の傾向である。
スピノザの名言
ーPeace is not the absence of war, it is a virtue, a state of mind, a disposition of benevolence, confidence, justice.
人間が到達できる最高の行為は「理解するために学ぶこと」である。なぜなら、理解することは自由であることだからだ。
スピノザの名言
ーThe highest activity a human being can attain is learning for understanding, because to understand is to be free.
希望のない恐れはなく、恐れのない希望もない。
スピノザの名言
ーThere can be no hope without fear, and no fear without hope.
幸福も不幸も、私たちが愛によって結びついている対象の質によってのみ決まる。
スピノザの名言
ーAll happiness or unhappiness solely depends upon the quality of the object to which we are attached by love.
人間が自分を楽しむことを妨げるものは、陰鬱で厳格な迷信以外にない。
スピノザの名言
ーNothing forbids man to enjoy himself, save grim and gloomy superstition.
迷信の最大の犠牲者は、一時的な利益を貪欲に求める者たちである。
スピノザの名言
^Superstition’s chief victims are those persons who greedily covet temporal advantages.
迷信は恐れによって生まれ、保たれ、育まれる。
スピノザの名言
ーSuperstition is engendered, preserved, and fostered by fear.
人間は自分を自由だと思い違いしている。その考えは、自分の行為を意識しているだけで、その行為を決定づける原因を知らないことから成り立っている。
スピノザの名言
ーMen are mistaken in thinking themselves free; their opinion is made up of consciousness of their own actions, and ignorance of the causes by which they are determined.
一般的に言えば、自然の法則によって禁じられているものは、人間の力の及ばないことだけである。
スピノザの名言
ーTo speak generally, nothing is forbidden by the law of nature, except what is beyond everyone’s power.
私は、世の中の平穏を乱さずに哲学を教える方法を知らない。
スピノザの名言
ーI do not know how to teach philosophy without becoming a disturber of the peace.
新しい考えに驚くな。それが多くの人に受け入れられないからといって、真実でなくなるわけではないことを、あなたはよく知っているはずだ。
スピノザの名言
ーBe not astonished at new ideas; for it is well known to you that a thing does not therefore cease to be true because it is not accepted by many.
スピノザの本・関連書籍を紹介
ここからは、スピノザのおすすめの本や関連書籍を紹介します。
スピノザの本おすすめ①:エチカ―倫理学(上・下)

エチカ―倫理学 (上) (岩波文庫)

エチカ―倫理学 (下) (岩波文庫)
『エチカ―倫理学』は、バールーフ・デ・スピノザが幾何学的手法を用いて、神・自然・人間・倫理の本質を体系的に論じた哲学書です。
スピノザは、神と自然を同一視する「汎神論」を基礎に、人間の感情や理性を必然的秩序の中で理解しようとします。
理性による自己認識を通じて情念を克服し、自由と幸福に至る道を示す本書は、倫理学を超えて存在論や認識論をも包含する壮大な思想体系です。
スピノザの本おすすめ②:知性改善論

知性改善論(スピノザ) (岩波文庫 青 615-3)
『知性改善論』は、スピノザが真理認識への道を探究した未完の哲学的著作です。
スピノザは、人間の幸福は「真の認識」、すなわち神=自然の永遠の秩序を理解することにあると説き、感覚や想像に頼る不確かな知から、理性と直観による確実な知への向上を目指します。
知性の鍛錬を通じて人間は情念に支配されず、精神の自由に至るとする本書は、『エチカ』の思想的基盤をなすものです。
スピノザの本おすすめ③:神学・政治論―聖書の批判と言論の自由(上・下)

神学・政治論 上巻―聖書の批判と言論の自由 (岩波文庫)

神学・政治論 下巻―聖書の批判と言論の自由 (岩波文庫)
『神学・政治論―聖書の批判と言論の自由』は、スピノザが宗教と政治、理性と信仰の関係を根本から問い直した思想書です。
スピノザは聖書を神秘的啓示ではなく歴史的文書として批判的に分析し、宗教権力による政治支配を否定します。
信仰の目的は服従ではなく徳の実践にあるとし、思想と言論の自由こそ国家の安定と平和をもたらすと説きます。
宗教的寛容と理性の自立を主張する本書は、近代民主主義と自由思想の源流をなす哲学的宣言です。
本書は、理性による信仰の再構築を目指す名著です。
スピノザの本おすすめ④:国家論

国家論 (岩波文庫 青 615-6)
『国家論』は、スピノザが人間の理性と自由を基盤に国家の本質を論じた政治哲学の書です。
スピノザは、国家の目的を「恐怖による支配」ではなく「理性による自由の保障」に置き、人間の自然権を尊重する社会契約の形を提示します。
宗教や思想の自由は国家の安定に寄与するとし、民主主義を最も理性的な政治体制として評価します。
理性と法の調和を説いた本書は、近代自由主義思想の礎を築いた重要な著作です。
スピノザの本おすすめ⑤:デカルトの哲学原理: 附 形而上学的思想

デカルトの哲学原理: 附 形而上学的思想 (岩波文庫 青 615-8)
『デカルトの哲学原理―附 形而上学的思想』は、スピノザがデカルト哲学を体系的に整理し、幾何学的手法で再構成した哲学入門書です。
自然と精神、身体と魂の関係を論理的に説明し、世界を機械的因果の法則によって理解しようと試みます。
理性による明晰判明な認識を重視し、真理探究の確実な方法を提示します。
また、附録の「形而上学的思想」では存在や神の本質について独自の考察を加えています。
本書は、近代合理主義の精髄を示す哲学的教科書です。
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